▼両皇大神宮の獅子頭2019/10/28 09:12 (C) 獅子宿燻亭7
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10月27日 朝から川西町玉庭の両皇大神宮に訪れた。到着する前に小松の皇大神社の宮司さん宅に
回って、車でお連れした。
神社に着くと総代の方々が、既に拝殿の清掃を終えたところだった。総代の方々は定期的に集まり
清掃や修繕を行っている。先月、総代長の方に獅子頭や絵馬を拝見したいとお願いし、この集まる
日に合わせて拝見できる事になったのだ。所蔵されている二頭の写真は小松の詳しいオジサンから
調達していたが、正面の写真と記名のみで再調査をしたかった。
総代が自ら名古屋から運んだという鳥居 塩ビ製と聞いて驚く
享保獅子
繰り返しになるのだが・・
獅子頭の記名は享保20年(1735) 細工 穂保定七 細工 大嶋市兵衛とあり、同町時田の八幡宮や
朴の沢熊野神社などに類似した獅子頭が残されている。しかし、時田の獅子頭(享保13年1727)に
は 大木甚六 高橋建賢 塗師 小松原□□(1728)(渡邊敏和氏資料より)・・と記録があり同
系統の作風にも関わらず作者が異なっている。
伊勢の宇賀多神社 享保八(1723)年の権現獅子
手本になる獅子頭から幾人か制作したとも考えられるだろう。伊勢の宇賀田神社に酷似している獅子
頭があり、いずれかが伊勢から獅子頭を求め、玉庭に伝わる享保雛の様に買い求め持ち込んだものか
もしれない。
源右衛門獅子
うっすら透けて見えそうな記名
別の獅子頭は写真から源右衛門の作風と察していたが、実際横から見てみると正にその通りで、
白鷹町の萩野、米沢市簗沢の八雲神社の大獅子、竹井の石清水八幡神社の獅子と同じだ。昭和53年
12月に小屋の渡部 亨氏(総代の方の話)によって獅子頭の修理をしているので記名が塗りで消失し
てしまっている。米沢市簗沢八雲神社の大獅子の記名には安永六年(1777)とあり、御伊勢町の獅
子記名と同時期である。源右衛門の獅子頭の特徴として、歯と舌の造形に特徴があった。歯の間に
窪みが有り細かく複雑な歯に仕上げている。川西町堀金の證誠寺所蔵の獅子や、その他数例に見ら
れる特徴であ。舌には葉脈状の溝が彫られ、その形状は他に類を見ない。内部に塗られた赤のカシ
ュー塗料が透けて、わずかに記名痕が残されていた。
宝暦11年の絵馬
絵馬裏の落書
獅子神楽絵馬が四枚残されていた。
記名が分かったのは宝暦11年(1761)と明和2年(1765)で年代が近い。宝暦の絵馬は、下敷きに
された様に墨が付着している。裏に試し書きの痕が残っていて、また「平成2年に額縁補修 大嶋
守男」と記録されている。大嶋氏は獅子頭記名にあった大嶋市兵衛の子孫ではないだろうか?
守男氏は「鎮守杜の覚書」という神社資料を残している方である。その裏の墨書をみると「天明元
年(1781)」「一万度御祓」「大嶋市兵衛」「奉納」「奉献」と試し書されているのが興味深い。
絵馬や獅子頭の記名の練習に用いたのだろうか?しかも絵馬の表を下敷きにするとは、実に大胆不
敵な試し書きである。
ノスタルジーを感じさせる水平線に夕日が沈む絵馬があった。千鳥の群れの影を描いている。越後
村上の海辺で舞う獅子神楽の様子を描いたのだろうか?
西大塚の皇大神社の四枚獅子神楽絵馬が残されている。獅子を操る人の腰には、刀が見えていたが、
明和2年の絵馬に同じ様に腰に刀を差している。絵の状態も良く生き生きと描かれている。大きな
胴長太鼓を乗せた長持には、ご祝儀を頂いたのか紙に包まれたオヒネリが描かれている。作者名も
残され「雲水舎 在中 筆」とあり作風も西大塚皇大神社の絵馬と似ている。
その他、文武両道の様子を描いた絵馬がある。中央右に何処かで見た様な松が描かれていた。西大塚
皇大神社の獅子神楽の絵馬と見比べて見ると作風が似ているので作者が同じではないだろうか?
作風が似ている西大塚皇大神社の絵馬
さて、類似する西大塚や御伊勢町の皇大神宮の獅子神楽絵馬についての関係性が気になってくる。
西大塚の皇大神社も、越後村上から移住してきた鮎川系武士たちの末裔に守られているのだろうか?
獅子神楽絵馬を複数所蔵している置賜の神社は少ない事から、その特異性を探ってみたいものだ。